■ 朝自転車に乗る
このプロジェクトは2014年にインドネシア、ジャワ島中央部にあるジョグジャカルタから車で約2時間の所にあるカンダンガン村でデザイナーSinggih.S.Kartono(シンギー・S・カルトノ)氏により始められたソーシャルデザインプロジェクトです。 Spedagiとはインドネシア語の自転車「Sepeda(スぺダ)」と、朝「Pagi(パギ)」からなる造語で「朝自転車に乗る」という意味を持っており、その名の通り早朝自転車に乗って村を巡っては村人たちが抱える様々な社会的課題の相談に乗り、デザイン的視点からのアドバイスを提供しています。その自転車のフレームなど主要部品に、村に豊富に自生するバンブーを利用しているのが特徴で、地域の天然資源を有効活用したバンブーバイクはこの活動のシンボルとなっています。 世界中で起きている都市化にともなって村が衰退してゆくことに対して危機感を感じているシンギー氏はその解決策を探るために2014年に村を元気にする会議であるICVR( International Conference on Village Revitalization)を開催し、以降2年に一度インドネシア国内外で開いております。 2016年度の第2回は日本の山口県阿東地区で開催しました。
■ 成り立ち
スペダギジャパンの活動は1990年代から耕されてきたエコデザイン、 サステナブルデザインの土壌に根を張っています。 1999年から続けてきたエコデザイン国際会議に始まり、 2006年から2016年まで続けられたサステナブルデザイン国際会議(ICDS) から2014年から始まったインドネシアの「村を元気にする国際会議(ICVR)」 へと続く文脈の中で、2012年に生まれたのが運動体としてのSpedagiであり、 2016年の第2回ICVRとともに誕生したのがSpedagi Japanなのです。
■ 地域の資源を活かした文化
人口の都市への集中は世界的な現象です。それは人口が急増する地域で顕著であると同時に、 人口の減少が進む日本などでも、都市部への若年齢層の偏在という形での不均衡が生じています。 年齢に関係なく人々が動き、混ざり合い、限られた国土を有効活用してゆくために、 Spedagi Japanは地域ごとに特徴的な資源を活かした文化を育てて行くことを目的とし、 その実証事例を示してゆきます。
1
人が集う拠点を中山間部に開設し運営する
山口県山口市の阿東地区、廃校を活用した阿東文庫にデザイン工房を作りました。
2
地域の自然資源を活かしたものづくり
豊富に自生する竹を自転車のフレームに有効利用するなど、再生と循環をキーワードにしたデザイン開発をしています。
3
地域のサステナビリティを高めるためのイベント等の企画・運営
地球レベルで持続可能な文明を作り上げるという世界の合意に沿った地域社会の在り方を提案します。
4
国際会議、各種セミナー、ワークショップ等を通じた情報発信・広報活動
1~3の実現のためにICVR国際会議や阿東地域をフィールドとしたワークショ ップなどを開催してきました。